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竹中工務店 京都支店長 名越健二氏  【2020年07月06日掲載】

まちづくり通じて交流

歴史・伝統に新しいものを付加


 京都支店は、明治時代から続く歴史ある支店としながら、「時代の変遷の中では、かつてのように建築単体の工事だけでなく、まちづくりにも関わっており、それらまちづくりを通じていろんな方々と交流できるよう取り組んでいきたい」と就任にあたっての抱負を語る。

 現在、支店を取り巻く状況は、コロナ以前からの様相が一変し、特にオリンピック・パラリンピック延期やインバウンド効果の縮小により、様々な計画が中止や延期となったことで、「他府県以上に大きな影響がある」としながらも、事業推進にあたっては、「歴史と伝統のある京都のまちの特徴を重要視しながら新しいものを付加していきたい」と語る。

 京都の特徴としては、大学や企業の研究機関や最先端技術関連企業も多く、また、専門分野で世界的企業も集積していることを挙げ、「コロナによる一時的な低迷はあるが、AIやIoT関係は今後加速すると考えられ、それにしっかりと対応できる体制づくりが重要で、これまで以上にスピード感を持って取り組んでいきたい」と意欲を見せる。

 もちろん、コロナによるプロジェクトの中止や延期は、支店にも影響はあるとしながらも、「アフターコロナの新たな生活様式に対応する建築の変化を見極めながら対策を講じることが課題と認識している」と語り、人手不足や現場の4週8休が求められる中での生産性向上など、従来からの課題についても、「コロナ以後についてもそれら取組みの見極めと対策が求められている」とする。

 このための取組みとして、BIMの活用と協力会社も参画する設計・施工から維持管理までを一貫して行う加速度的なデジタル化の推進を挙げながら、「京都ならではのデジタルトランスフォーメーションへと繋げていきたい。その上で、根底には新しい生活様式を取り入れた中で、安全安心のまちづくりに当社としてどのように関わっていけるかを考えていきたい」との考えを示した。

 今後の事業展開については、「これまで支店として地域の歴史や文化に根付いてきたものを、さらに深化させることが私の役割」と述べ、目標としては、「何かあれば竹中へ相談しようと、みなさんから必要とされる企業になること」を掲げた。ターゲットでは先端施設や医療機関、スポーツ施設等を挙げながら、寺社仏閣等の木造建築関連でも、「これまでの実績と経験を活かした提案活動を行いたい」とした。

 当面の活動では、営業を中心に顧客等とのコミュニケーションを取りながら、「コロナ後に求められるお客様のニーズとその情報を基にした戦略を構築していきたい」とする。アフターコロナ・ウイズコロナの中で、「新しい生活様式を取り入れた安全安心のまちづくりにおける空間づくりはどうすればいいのかを考え、各企業が動き出すときにそれに即応できるようスピード感が必要になる」と再度強調する。

 一方、働き方改革への取組みでは、現場の労働人口が減少する中での生産性向上には、先程のデジタルトランスフォーメーションによる、時間の有効活用を指摘する。アフターコロナにおいては、「従業員の満足度を維持した中で働き方改革を実施しなければ弱体化するのでは。単に時間を短縮すればよいというものではない」と語る。

 今回、テレワークで見えてきたこととして、会議時間の短縮など、「集中することで時間を生み出すことができるツールになる」とし、在宅勤務でも、通常業務での成果を落とさないという課題に関しては、「ほぼ達成できたのではないか」との見方を示した。

 さらに、その上でコア業務に集中できる環境はまだまだ整えることは可能で、「そこに注力し、満足度を維持した中で、如何に個々の成果をもたらすことができるかをやっていきたい」とした。

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 京都支店は3年ぶりの勤務。今回は約300名の職員を統括するが、就任に際し職員には、「困難はあるだろうが、地域に根付いた企業、必要とされる企業を目指したい」と呼びかけた。

 入社後の23年間は現場に従事。入社当時は業界が繁忙期で、最初の現場では「毎日が忙しく、不安の中で夢中で過ごした」としながら、竣工式で建物を見たお客様の満足そうな表情を目にした時に、それまでの苦労が消し飛び涙が止まらず、「生涯の仕事として建築を全うするとの気持ちが固まった」と振り返る。

 座右の銘は各時代にはそれぞれの価値観や考えがあり、それらの良い面を取り入れながらチャレンジしていくとの思いから「温故知新」を挙げる。
 趣味は釣りと料理。特に料理は、一時は調理師の道も考えたという。鹿児島県出身。五三歳。

  
  

 名越健二(なごや・けんじ)1991年3月日本大学理工学部交通土木工学科卒、同年4月竹中工務店入社、2003年4月京都支店作業所工事課長、2007年4月同支店作業所工事副部長、2012年3月神戸支店作業所長、2013年月京都支店次長生産担当、2017年3月大阪本店品質部長、2018年3月同本店プロダクト部長を経て今年3月から現職に。

 
 
 


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