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北口工務店 村上誠社長  【2020年04月13日掲載】

「事業は人なり」貫き約70年

独身寮、社宅など福利厚生充実

資格取得者には手当・報奨金


 専門工事業者として68年の実績を有する北口工務店(大阪市阿倍野区)では、「事業は人なり」を創業以来の理念とし、その精神は現在まで社員一人ひとりに受け継がれている。村上誠社長もその一人で、「社員への投資は惜しまない」とし、その思いは、週休2日をはじめとする各種の福利厚生の充実や、建設キャリアアップシステムへのいち早い取組みにも現れている。「時代に合った変化も必要だが、これまでに培われてきたものを維持、発展させるのが私の役割」とする村上社長に、現状や今後の取組みを聞いた。

■初めに勤務体制を教えて下さい。

 従業員は36名で、このうち社員の鳶工8人がおります。勤務時間は午前8時から午後5時30分までで、途中に昼休みを含め休憩時間を設けています。就業時間は、第3土曜日は安全衛生会議日に充てていますが、基本は週休2日として年間で週40時間としています。
 残業については、1カ月で平日のオーバータイムと土曜日も含めて80時間以内に収めるようにしています。ただ、改正労働基準法により、2023年には60時間以内までとされていることから、弊社では元請の意向もあり、日本建設業連合会が打ち出した工程表に基づき取組みを進めていきます。

■現在は現場でも週休2日が求められています。

 現在、建築工事の場合は4週6休とされていますが、実現できない現場もあります。このため、通常は7時半までには切り上げられるよう、工夫するようにと指導しています。現場では、天候等による作業の遅れの取り戻しや竣工間際の追い込み時期にはどうしても作業時間が長くなりますが、その時は応援の社員を投入して、オーバーワークを防ぐなど、社員への負担を軽減しています。

■有給休暇の取得状況は。

 年次休暇は20日としていますが、これとは別に昨年4月から5日間は計画的有給期間として消化日を設けており、まず3日間を消化し、残りの2日間は随時消化するよう奨励しています。年次休暇では、建築系社員については、担当現場が終わって次の現場に入るまでまとめて取得している状況です。
 ただ、鳶・土工の職長は安全衛生責任者であることから思うようには実施できておらず、ある程度は休日出勤手当でカバーしていますが、交代人員の確保等により休暇が取得できるような体制を構築中で、これにより5日間の計画休暇は達成できる見込みです。

■週休2日の場合でも、1次下請はまだしも、2次下請以下の職人さんにとって週休2日は厳しいのでは。

 確かに2次以下では日給制の職人さんが多く、労働時間の縮小は大きな問題です。このため、週休2日となった場合の労務費アップを元請にお願いしており、現在では、4週8休に向けた方策を示してもらえるようお願いしているところです。

■福利厚生への取組みは。

 資格取得者に対しては手当を支給しています。私を含めて一級建築士をはじめ殆どの者が資格を取得しています。資格取得者に関しては、報奨金制度を設け、資格を取得するごとに一時金と毎月の資格手当をそれぞれ支給しています。もともと元請からの意向もあり、技術者を育成する観点から取り組んだものです。
 このほか、住宅手当と家族手当を支給し、退職金も、確定拠出企業年金により上乗せして支給しています。また、40歳以上の全社員を対象に人間ドックの受診も実施しており、独身寮と社宅も整備しています。弊社としては、投資対象は社員しかいないわけで、社員に頑張ってもらうために投資しています。

■若年者の確保育成については。

 社員の高齢化が進んでいますが、これは当社に限らず同業他社でも同様で、このため新規入職者の確保は大きな課題となっています。当社の場合、長年にわたり高校とのパイプもあり、毎年、数名が入社しておりますが、最近では、中堅クラスの企業も高校生の獲得に乗り出してきたことから、厳しい状況にあり、これまでのように来てくれるのを待つだけでなく、今年からは学校訪問を予定しています。
 当社ではこれまで九州や中国、四国からの新卒者を採用しており、このため早くから3食付の独身寮を整備しています。高校生の場合、見学に訪れた保護者の方が安心され、入社を促す上での大きなポイントになっています。

■新入社員教育は。

 最初の1カ月は社会人としてのマナー等の基礎教育として元請をはじめとする外部に委託した研修とともに、現場に即した安全教育等を中心とした社内研修を実施しています。これは一人暮らしに慣れさせるとともに生活のリズムを付ける意味もあります。またこの間、若手社員との旅行や懇親会等を実施して親睦を深めることとしています。
 ただ、入社後1年前後で辞める者も何人かはおります。退社理由は様々ですが、大抵の場合、ただ嫌になったとかが理由です。辞めて何をしたいのかが解らない。確かに、新卒者程度の給料ならば、派遣やアルバイト等でいくらでも稼げる仕事はありますが、生涯年収など長いスパンで将来を考えることができない。最も、そういったことはある程度の年齢に達しないと解らないとは思いますが。

■担い手の確保も含め、働き方改革や建設キャリアアップシステムが進められていますが、これについてのお考えは。

 働き方改革の理念は理解できますが、実際の現場を担う我々が動きやすいようにしてもらいたい。週休2日も重要ですが、現在でも社会保険に加入していないと入場できない現場と未加入でも入場できる現場もある。その部分で元請の足並みを揃えてほしいと思っており、実際に要望も行っています。
 建設キャリアアップシステムについては、当社では職方社員は全て登録しており、2次業者も会社としては登録済みで、その社員についても順次、進めていますが、3次業者になると職人の移動も激しく難しい面があります。システムのメリットは解りますが、懸念する部分もあります。ただ、時代がその方向に流れているからには最初から入ろうと。このため協力会社には当社と仕事する限りは入るように要請しております。
 また、外国人労働者については、「建設業は経験が不可欠」と私は考えていますが、業種によっては人手が逼迫しているところもあり、実際、2次業者では既に実習生を受け入れており、今後は増えていくだろうとは思っています。

■今後の経営方針については。

 当社は古くからの顧客も多く、協力会にしても先代同士の結びつきがあり強固なものがありますが、なによりも私自身が若い時から先代社長の下で働き、他の社員も同様にともに働いてきたことから、その結びつきや絆には強いものがあります。時代に合わせた変化も必要ですが、先代が築いてきたこれまでの関係を維持、発展させていくことが私の役割ですが、私一人では何もできず、これからも社員はもとより、協力会ともども発展していきたと考えています。

■今後も社業発展にご尽力下さい。ありがとうございました。

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 北口工務店(大阪市阿倍野区阪南町4―18―1)は、昭和27年10月に北口由太郎氏が創業、同36年4月に法人改組し、北口由治氏が社長に就任。専門工事業として土木建築工事の請負とともに、総合建設工事も手掛ける。また建設業務労働者就業機会確保事業と労働者派遣事業の許可を、それぞれ厚生労働省から得ている。村上社長は平成25年6月に社長に就任。

 
 


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